クイックシルバー 2章 これが彼らの為だから
月宵
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シナリオ形態
ショート
難易度
Normal
判定方法
エキスパート
参加制限
総合650以上
オプション
参加料金
100 SC
参加人数
4人~8人
優先抽選
50 SC
報酬
300 EXP
5,000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
5日
抽選締切
2022/03/14 10:30
プレイング締切
2022/03/19 10:30
リプレイ完成予定
2022/04/06
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

 ※字数短縮のため、クイックシルバーを『QS』と略させていただきます。
  
 デクスターの話を聞きに、浅草寺にある煉獄本部へとやってきた咎人達。だが、その前にQSを写メったと言うスタッフを現場から呼び戻し、写真を見せて貰うことにした。

 高柳 京四郎(ma0078)が最初に話し掛けてくる。
「ザクロの葉って言葉が出てきて奴のチョーカーの意匠もそうかと想っていたけど実際どうだったかな? 映像があるなら確認したいが……」
 スタッフの男性は、特に躊躇することもなくQSの映る画像を見せた。電撃で敵をぶっ飛ばした後だろうか、一瞥すら向けない。
 その黒髪を垂らし、細い首から覗くチョーカー、その彫刻は確かに前以て調べていた『ザクロの葉』であった。

「アルベリヒ……んあー、俺もアルって呼ぶわ。お前も泉李って呼べ」
「なんだ?」
 御伽 泉李(ma0917)が画像を覗き込んでから、傍らのアルベリヒに問う。
「アルが見たQSって、コイツであってる?」
 アルベリヒは視線を画像に移してから、静かに頷いた。
「ああ……あの時の『彼』に間違いはない。この後、俺は瀕死に追い込まれた」
 まただ。
 泉李はアルベリヒの台詞に引っ掛かりを覚えた。だが、それは後でじっくりと聞くとしよう。

 凄腕のガンマン風に、ピストルをちらつかせるのはラファル・A・Y(ma0513)だ。
「気になるんだけどよ。なんであんた、撮影なんかしたんだ? 相手が殺人鬼って知ってた理由もわからんし」
 凄みをきかせて、彼女は怖い警察官のように振る舞う。
 が、イマイチその意味をスタッフは汲み取りきれてないのか、思うがままに答えた。
「前に言わなかったか? 噂で聞いた都市伝説の殺人鬼に似てたから。実際、そこの兄さん以外ヒトは誰も狙って来なかったしな」
 そう言ってから、チラリと視線をアルベリヒに向ける。
「なら、写真はなんでだ?」

 ラファルの言葉に、まさに青天の霹靂と言いたげに驚いて言葉を溢す。
「いや、撮るだろ。目茶苦茶可愛かったんだぞ」
「は?」
「QSが、あんなカワイコちゃんなら撮らない?」
「……マジで」
 それ以外にあるのか、とスタッフに首を捻られてしまい、ラファルは途方に暮れる。
 あ……これマジだわ、と。

 二人の会話を他所に、京四郎はじっくりと画像を吟味していた。何か、見落としはないか、違和感があったりはしないか……。
 幼げな輪郭から覗く、長めな睫毛を纏わす双眸は、黒髪よりも漆黒を示す。冷淡を示そうとする表情も、あどけなさ残る頬が緩和させる。

「うん、かわいいな」
「「……………………」」
 何を血迷ったか『何かの天啓か』、京四郎の口からこぼれた言葉に、どこか沈黙を守るアルベリヒとラファル。

「あ、いや、そうじゃなくて。そう言う意味じゃないんだ」
「やっぱり、兄さんもわかってるな」
 どうやら、鋭敏視覚が違う方向で発揮されてしまったようだ。
「……では、デクスターとやらを待つか」
「まあ俺に任せておけばいちころだぜー」
「頼む、誤解なんだ。話を聞いてくれないかな!?」

 ●変人研究者の言うことにゃ
 咎人達がその部屋に入ると、デクスターが手招きし待機していた。

「やぁやぁ、君らだね。俺様ちゃんに用事があるってーのは」
「フン、デクスターとやら。『アルベリヒ・ロクジョウ』について聴きにまいった。貴様の救出作戦に参加した咎人の代理ぞ」
 神慶 誠就(ma1209)が普段通りの偉そうな口調で一言――
「あ、すまない、誠就。資料に読み仮名を振り忘れたが『六条』は『リクジョウ』なんだ」
「な、なんだと……」
 と一旦アルベリヒに口を挟まれるも、気を取り直して口上をもう一度。

「なるほど、なるほど、確かにアイツの代理だねー」
 ケラケラとデクスターが笑う。やはり、この男一筋縄ではいかなそうだ、と泉李が詰め寄る。
「はじめましてデクスター?
あだ名は何がいい? ディックとかでいいか?」
「なんなりと」
「んでディック、GPSだっけ? あん? SGP? まぁソレでいいや」
 デクスターに確認したいことは、山ほどあった。
 
 SGPに六条orアルベリヒという名前の者や似た外見の奴がいないか、表に出せねぇ様な実験の有無。『ザクロの葉』、『実』、と名のつく保護施設、組織の有無。等だ。

「質問が多くて悪ぃな。アンタと一緒で好奇心旺盛なんだよ」
 だが、怒濤の質問群にも、デクスターは臆することなく一言で片付けた。
「いいよ、俺様ちゃんのわかることなら教えてあげよう」

 先ずは『リクジョウ家』に関して。
「六条は三代続く資産家の一族。その事業の一つに、『ザクロの葉』と言う養護施設がある」
「養護施設……」
 その言葉に反応したのは、京四郎であった。
「現当主、六条幻志郎。彼は『これが彼らの為だから』と口癖にして、その献身的な姿勢からか孤児達への信頼も厚く、彼らの学習にも力を入れていた」
 幻志郎は、ドイツ人の妻がいて病気で早死にしているともデクスターは伝える。要するに、アルベリヒは彼の子息なのだと伝えた。そして、現在六条親子は行方不明とも。
 
「っ……」
 アルベリヒが額を押さえ、表情を歪めた。心配そうにする京四郎に、彼は続けてくれと呟く。

「それで、リクジョウとSGPの関係は何ぞ?」
 今の話は説明にしか過ぎない。だが、アルベリヒ達が聞きたいのは、そんな耳触りが良い話ではないはずだ。
 それをデクスターもわかりきっている。
「実はザクロの葉の孤児は特別なんだよ。超能力を持ち、それによって棄てられたはぐれ者達の溜まり場」
「そして、今更ながらSGPの説明を敢えてしようか」
 SGP、スプリームゴッドプロジェクト。アメリカにある超能力者研究機関、と言っても良いだろう。
「では、その研究対象……どこから補給されると思う?」

 バンッ
 
 その解にたどり着いた者は、何人かいた。だが、最初に声をあらげたのは京四郎であった。
「ふざけるな! そんなこと……そんなことって」
「あー、漸く俺にもわかったぜ。子供売ったんだな」
 ラファルの答えに、デクスターは笑みを深める。
 そう、六条家は孤児をSGPに売っていた。所謂『人身売買』だ。

「それも俺様ちゃんが、所属するずーっと前から、ね」
 だから、詳しい話はわからない、と彼は付け加えた。
「一応、子供達の扱いは酷くはしていないよ『現在は』ね」
 泉李がアルベリヒを見つめる。顔色はなく、一言も発することは出来ないようだ。
 自分が関わっていたかも知れない所業を知ってしまったのだから、当たり前と言えば当たり前か。

「つまりシルバーなんちゃらはSGPの関係者ってことなんだな、そうだろ?」
 カチャリ
 はけー、とばかりに銃口をこめかみに突き付けながら、ラファルがデクスターへ問う。
「それに関しては全く知らないね」
 相変わらず、全く気にしないデクスター。恐らく、ラファルの行為が本気でないこともわかっているのだろう。
「気になるなら、今情報を……」
 そう言ってPCのキーボードを叩いていたデクスター。
 が、不意にその手は止まる。恐らく、SGPのネットワークにでも潜り込んでいたのだろう。

「おかしいね、削除されてる」
「なんだって?」
 泉李も訝しげにPCのモニターを共に覗き込む。デクスターがマウスをクリックし、ウインドウをいくつも出すがどれもエラー番号。
 
「残すワケないか……自由の国がこのご時世の『人身売買』なんて、バレたらでっっかいスキャンダルだ」
 他人事のように、元SGPの男は愉快そうに嗤った。
 京四郎は改めて呼吸を整える。そうだ、取り乱した所で、例え神の遣いでも過去は変えられない。
「あー、それとこれは可能ならでいいんだが……イヴリンさんや安達等にデクスターさんの人脈を辿って協力を願ったりは難しいかな?」
「アダッチー? おけ、聞いとくよ」

 ●アルベリヒに問う
 話を聞き終えた咎人は、休憩室を借りて自販機で買った飲み物を手に情報を纏めていた。

「大丈夫ぞ? アルベリヒとやら」
「……問題ない」
 あんな話を聞いて、大丈夫なはずはないのだが敢えて誠就は言葉を放つ。
「貴様が何者であるか知ろうとするのだ、そんなことでどうする? アルベリヒ・リクジョウ」
 一方で、京四郎はアルベリヒを傍らで護衛していた。いつ、またあの殺人鬼が彼を襲わないとも限らないからだ。
「なぁ、アル確認なんだが。なんで、QSを『彼』って言うんだ?」
 泉李は珈琲缶をアルベリヒに渡しながら、気になっていた言葉について聞く。
 前にもアルベリヒは『彼』と言っていた。そして、今回も『彼』と。二回も言っているなら、聞き間違えと言うことはない筈だ。
 だが、アルベリヒは銀の瞳を丸くして応えた。
「そんなこと俺は言っていたのか」
「無意識なのか?」
「ああ……おかしな話だ。どう見たって女性なのにな」
 アルベリヒは苦笑いを浮かべたが、泉李は逆に考えた。
 或いは正しいのはアルベリヒで、『アルベリヒはQSを知っていた』のではないか、と。

「なー、六条ってくらいなんだから華族サマなんだろ?」
 ラファルの質問に、アルベリヒは頷く。
「恐らくか? 昔に没落していた、とデクスターが言っていた」
 そして、戦後に復興したのだSGPと取引をしたことで。

「他に何か思い出したことあるのかー?」
「……絵本だ」
 直接今回の件と関係あるかはわからない。中身は思い出せないが、新品の革張りの緑色の絵本をアルベリヒは思い出したらしい。これだけですまない、と言う彼に京四郎が助け船を出す。
「きっと、それはアルベリヒさんにとって思い出の品だよ」

「ザクロの葉かー、どう言う意味だろうな」
「ザクロには、色々な逸話がある。あまり良くない意味もな……」
 それに自分が関わり、手を染めていたかも知れないと、アルベリヒは空き缶を潰す勢いで握る。
 そんな彼の肩をパン、と叩き泉李は言うのだ。

「安心しろ。俺は死ぬ気も死なせる気もねぇし、最後まで付き合うよ」
「ありがとう」

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