怨嗟悪霊☆百燭ちゃん【初心】
三田村 薫
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シナリオ形態
イベント
難易度
Hard
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
50 SC
参加人数
5人~24人
優先抽選
50 SC
報酬
240 EXP
3,000 GOLD
6 FAVOR
相談期間
4日
抽選締切
2022/04/15 10:30
プレイング締切
2022/04/19 10:30
リプレイ完成予定
2022/05/11
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

「妖鉄界には氏族ってモンがあんのか。興味深い」
 鐘田 将太郎(ma1159)はノリスケと名付けた黒パジャモ幼体を抱えながら、統一戦に立っていた。鋼術師ビギナーのウォルターに、
「今回も鋼術師での戦闘頑張れよ、ウォルター。支援は任せろ。思う存分、暴れていいぜ。シールド強化と回復は俺がやる」
「よろしくお願いします」
 本日は支援メンターの様だ。彼はノリスケにも、
「お前さんも頼りにしてるぜ」
 と、頭を撫でた。
「がー」
 ノリスケも張り切っている。
「……結構な数がいるのね……」
 雀舟 雪(ma0675)は歩夢(ma0694)やブリジット・レジェフォール(ma1099)と一緒に居並ぶ鉄騎を見て呟いた。
「おー! 沢山、いるねぇ~……」
 ブリジッドも掌で庇を作り、見渡す。
「いやあ、やれることが少なくてねえ。その分、できること、攻撃に専念させてもらうさ」
 御門(ma0729)は針の氏族とそんな話をしていた。
「強化とかはやらせてもらう。頼りにしてるからね」
 チアキと呼ばれている妖術師の女性がその腕をぽんと叩いた。


 戦闘が始まると、簒奪者の方では何やら大騒ぎが始まった……が、こちらはとにかく敵機の数を減らすのが肝要だ。勝敗が撃破数で決まるかもしれない。
 将太郎が、挑発を使う歩夢にシールドアップⅡを施した。多少袋叩きに遭っても大丈夫だろう。何しろ今回は多数対多数で、向こうにとっても的は多い。
「味方の強化、敵の弱体は戦闘の基本。怠らないようにしないと」
 更級 暁斗(ma0383)は琥珀石の守護を詠唱していた。シールドが上昇すれば安心して戦闘に挑めるだろう、と思ってのことである。
「リコリコが来たからには鉄騎なんてちょちょいのちょいなのだ! 何だかいっつもこれだけど……くろすけ、ファイアバードなのだ!」
「がー!」
 リコリコ(ma0309)はすっかり十八番になった、黒パジャモ幼体のくろすけにフォルテの指示を出してファイアバードを敢行。大爆発を起こす。
「よし! 今だよ!」
 妖気収束したチアキが焔光月火で更に追い討ちを掛け、ブレイクに持ち込んだ。ウォルターは御封刃を使う。他の氏族もウォルターが回避を下げた敵に対して集中攻撃を掛け、撃破に持って行った。
「ほれ、そこだ!」
 歩夢を始めた陰陽会議の面々が次々とブレイクキルを撃ち込み、ダメージを稼ぐ。速攻チャージⅡを飲んだ御門は、攻撃の回数を増やして近くの鉄騎に連続攻撃を叩き込んだ。速攻チャージⅡを使うと、ムーンストーンオーラも鬼気森然も使うタイミングを逃すが、その代わりとばかりに氏族が鋼術で彼の能力をあげていた。黒く汚れた天使の紋様が僅かに輝いた、様な気がした。
「あゆ、背後は任せてください……」
 ムーンストーンオーラの光を纏った雪も、同じ対象に攻撃を加えた。シールドのない相手にはスキルを温存し、その通常攻撃には氏族から鴒原之火が乗って強化される。
「無理はするなよ、雪!」
 歩夢は彼女に声を掛けながら、自分も構えを取った。
「でも今日は目印って新技が追加されたから、いつもと一味違うのだ」
 リコリコは集中攻撃すべきと見做した敵の上に浮かぶ。それを目印にして、氏族の一部も攻撃に参加していた。
「ノリスケ、つっつく! お前さんも思う存分大暴れしな」
 そこに、将太郎の指示を受けたノリスケが突っ込んで来た。固い嘴で鉄騎をつつく。
 歩夢は鉄騎に挑発を仕掛けた。数体の鉄騎がそれに引っかかるが、今回の鉄騎はサイズ差もあってそこまで多くを引きつけることはできない。しかし、氏族の中にもディフェンダーというか、味方の防衛を担う者はいて、それらの侍たちが、自衛に不安のある咎人の守りも請け負っていた。
 冥皇(ma1126)は暁斗から離れたところで氏族と戦っていた。ビギナーが胸張って戦えるようメンターとして手助けしようと言う。
 フリーズⅡで回避を下げる。敵の反撃は陰陽の舞で回避する。サイズ差があるので、冥皇はいつもより楽に回避することができた。カウントしない大蛇神楽でクリティカルを狙い、マジックアローⅡも使ってダメージを重ねる。氏族が追撃した。
 冥皇はビギナーと戦いたかった様だが、支援役の暁斗がビギナーの周りで琥珀石の守護を使うなら、そこから離れる冥皇はどうしてもビギナーからも離れることになる。
 歩夢にも数体の鉄騎が寄って行った。前回もそうだが、今回も後がつっかえるので、そこまで攻撃されない。
「仲間の強化も戦法のひとつです。シールド支援もしてみせます」
 敵の攻撃を破霊円舞でやり過ごした暁斗の琥珀石の守護が発動した。これで、シールドを分厚くしてブレイクを一度は無効にできる。ビギナーにとってはかなりの安心材料だ。挑発で敵を引きつける歩夢にとっても。一回ブレイク時の授かりし希望を使えるようなものだ。
 とは言え、一つ気を付けないといけないのが、将太郎のラウンドシールドと範囲が被る場合だ。同じステータスが上昇する強化を使った場合、優先されるのは「数値の大きい方」で、今回なら琥珀石の守護が優先される。累積はしないのだ。今回の様に大人数なら、琥珀石が届かないところをラウンドシールドでカバーすると言う戦法は十分に有効だ。同じ効果を持つスキルなら、どう使うかは一考の余地がある。
 ブリジットの咲き乱れる蒼月が発動した。周囲の氏族はそれで発動に時間の掛かる技を次々繰り出した。
「妖気の巡りが良くなった気がする……!」
 チアキは張り切って大蛇神楽を放った。そこからは破竹の勢いによる快進撃と言って良い。どんどん鉄騎が減っていった。将太郎とリコリコのトルマリンショックや、冥皇のフリーズⅡが鉄騎の回避を落とし、倒しやすくなっているのも大きい。
「へっへーんだ、悔しかったらこの高さまで攻撃してみるのだ~♪」
 リコリコは胸を張って、魔導古書から電撃を放っている。
「大丈夫? ブリジットさん」
 疾走牙で敵のシールドを削ぎ落としながら、彼女を気に掛ける。ブリジットはにこ、と笑いながら、花想舞踏界を展開していた。
「更級心刀流奥義、焔月無塵!」
 暁斗が鉄騎を一刀のもとに斬り捨てる。そこに、花びらでできたブリジットの分身が追撃した。


 鉄騎はバタバタと倒れていった。数ではほぼ互角だが、こちらには範囲攻撃や追撃も揃っていたのが大きい。かなり優勢で進んだ。
 鬼気森然で見切りの集中力を高めた御門が、敵の回避を的確に捉えた一撃を叩き込む。その攻撃には氏族が彼に分け与えた共鳴鋼の力があり、なかなかの威力になっていた。
「はい! そこまで! はい、そこ! もう撃たない! 撃たないよー!」
 やがて、調停者からストップが掛かった。簒奪者の方がエキサイトしていたようで、戦闘音が完全にやむまで少し時間が掛かる。
「うーん、混沌としていましたが、とりあえず総合的に針の氏族の方が優位でしたので、初戦は針の氏族側勝利とします」
 氏族と【初心】チームは歓声を上げた。優位には撃破数も含まれることだろう。
「攻撃と支援。両方をこなすのは難しいですね……」
「ナイトブラッドと一味違う戦闘もいい。まだまだ研究の余地あるが」
 暁斗と冥皇は額の汗を拭っている。
「皆、お疲れさん。支援でお役に立てたんであれば何よりだ」
 将太郎が仲間たちを労った。ウォルターへ、
「どうだ、鋼術師としてやっていけそうか?」
「もうちょっとやってみたいです。ただ、サポーターではできない強化とかできて面白いですね」
 ウォルターは肯いた。
「ビギナーのみんなも、空飛べるリコリコの凄さがわかったのだ……?」
 リコリコはそんな咎人たちの頭上で胸を張りつつ、自らの偉大さが浸透しているかについて首を傾げるのであった。

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