(急募)オートミールの美味しい食べ方!!
月宵
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シナリオ形態
ショート
難易度
Normal
判定方法
カジュアル
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100 SC
参加人数
4人~8人
優先抽選
50 SC
報酬
300 EXP
5,000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
4日
抽選締切
2022/05/02 10:30
プレイング締切
2022/05/06 10:30
リプレイ完成予定
2022/05/20
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. -
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
 ツインフィールズの日中。その場所では、大規模な建物を完成させんと蒸気を利用した重機の忙しない音が聴こえてくる。
 
「よーしまずコメと麦を一緒くたにするな、処すぞ?」
「ひっ、す、すいません!」
 もうすぐ、お昼時と言う時間、浦部 椿(ma1090)は『オートミールを麦を米と言った不届きもの』とっつかまえ、雑面をぬいっと近付けて日本人の若者へ警告をした。
 
「まったく……いつまでも あると思うな あったかご飯米がなければ麦を食え」
 ブツクサと、椿はそう呟いた。

「正直に言うと私もあれは美味しいとは思えないんですよね……」
 この依頼に参加したは良いものの、料理を得意とする不破 雫(ma0276)も今回ばかりは苦手意識を否めない。
「そうなんかー。おいちゃんは、結構食べれたんやねんけどなぁ」
 好みはあるよなぁ、と親方は雫に同意してくれる。

「昔、流行りで買ったなぁ~余りの不味さに処理に困った記憶が」
「紙を食べてる感じが嫌で、鳥の餌に回したりもしたなぁ……」
「確かに、ちゃんとふやかさなそなないな味なるねん」
「今回は当時に試作したレシピを持って来たので何とか食べれるかと」

「だ、大丈夫やって! 蓼食う虫も好き好き言うやろ!」
「ほんと、申し訳がないです」
 自信なさげな雫に、何とか頑張って欲しい、と親方は励ましてくれる。

(問題はそのレシピが美味しかったかの記憶が無いんですよ)

 先に詰所に入って、作るものを準備していた咎人達にピーツが頼まれた材料を紙袋に入れて持って帰ってきた。

「ほい、買ってきたで。お代は1000万円やでー♪」
「い、いっせんまんですー!? 流石輸入品」
「いや、先ず冗談やし。金の単位にもつっこんで欲しいんやけど……」
 小山内・小鳥(ma0062)の天然に、ボケを殺されつつも頼まれた材料をテーブルに並べる。

 リダ・クルツ(ma1076)は材料を選別しながら、頼んでいたものが無いことに気付いて苦笑いを浮かべた。
 
「ピーツさん、やっぱり『みりん』は高かったのか」
 その言葉にピーツは、ツインテールの頭をポリポリとかいて真顔で告げた。

「あんな、青髪あんちゃん。聞いたら、みりんって『料理酒』なんよ。そりゃあ、手に入らんわ」
「あ、忘れてたな。禁酒法か」
 そう、みりんはアルコールを含んでいる。いくら、飲むためでなくとも酒であることに変わりない。
「なら、アレで応用するか」

「それから、小鳥。先ずこの時代にマヨネーズはあるが、中濃ソースはあらへんかった」
 と言うより、まず小鳥が作ろうとしている料理はまだこの時代に開発されてない。そうピーツは言い切った。
 
「えー!! どうするですか!?」
「一応似た料理があるんや。その為に味噌とウースターソース買ってきたわ」
 これで代用しい、と壺と小瓶をテーブルに置いた。

「ウチが出来るんわ、今回こんなところや。ほな、後は任せたわ」


 ●オートミールを美味しくしよう
 こうして、各自オートミール料理が始まった。
 雫は先ず、オーブンを温めるようだ。その傍らでお湯を入れた鍋が沸騰している。
「先ずはかつお節、火を止めてから昆布を……」
 米国の石造りの詰所とは思えない場所から、思わず生唾を飲み込むほどの芳しい香りが漂ってくる。
 そして、ボウルにオートミール、ナッツ、メイプルシロップ、水少々を入れて混ぜていく。

 ここでオートミールに関して、いくつかちょっと説明を加えておく。実はオートミールには、幾つか種類があり今回は有名な二種を紹介しよう。
 先ずは、ロールドオーツ。オーツ麦を加熱し、伸ばしてから乾燥させたオートミール。今、雫がボウルに入れたのもそれだ。
 麦そのままの形を残しており、食感もかなり残っていて、主食として食べられている。
 もう一つが、クイックオーツ。先程のロールドオーツを、更に細かく砕いたもので、粒が小さいためお湯を入れて置くだけでリゾットのように食べられる。
 実際、もう一つのボウルにクイックオーツと牛乳を入れて雫はふやかしている。
 他に、卵に砂糖にベーキングパウダーも加えて、どうやら焼き菓子にでもするようだ。

「和食……? ご飯の炊き方を覚えたばかりだが、なんとかするさ!」
 とは言え今はキッチンで作業をこなすリダだが、実は今回は結構悩んではいた。

 一応、オートミールを粥のようにしてみたが、どうもピンと来るものではなかった。
 ドーナツ、とも考えたが和風からは結構離れてしまう。その時ふと思い出したのが友人達が旨いもちの食べ方を話していたこと。
 その時は、自分の地域(平行世界米国)では、苦手なやつもいるのに、くらいにしか思わなかったが。
 これならいけるのでは、とリダは考えた。

 用意するのはふかしたジャガイモをマッシュしたもの、そこにコーンスターチを練り込む。
 
 それを平たい円形にすれば、水で溶いた小麦粉にくぐらせて、そして衣代わりのオートミールをまぶす。
「よし」
 熱した油にソイツをくぐらせれば、フツフツと小さな泡とパチパチと小さな音を奏でる。

 
「お米の代わり……和風にアレンジするのが良さそうでしょうかー?」
 小鳥は刺身片手に悩んでいた。が、やはりマグロを今回絡ませるのは無理、と断念し封印。刺身は片付けることにした。
 
「色々と作ってみて……気にいるのが出来るといいのですがー」
 お湯で煮たクイックオーツに、野菜(キャベツ等)出汁を入れ必死にまぜまぜする。
 最初はある程度固さを保っていたオートミールだが、徐々に粘りけが出てくる。
「けど、固すぎてたこ焼き生地にはならなそうですねー」
 もうちょっと、オートミールが粉末に近ければ可能だったかも知れないが。
 続いてはロールドオーツとヒタヒタの水をフライパンに入れて加熱。これをある程度水がなくなるまでやれば、米化する。
 後は、先程の水に出汁や、調理済みの具材を加えれば五目風になるのだ。

 と、ここで問題発生。餅風にしようとクイックオーツをふやかし、粘着状にするまでは良かったのだが。
「わー、バラバラですー……」
 形を纏めようとすると、どうも思ったように上手くいかないようだ。すると、見かねたように椿が隣に立てば、ふむと悩み一言を告げた。

「小山内殿。餅を作りたいなら、煮るときにとろみ粉を使うといい」
「これを、こう……あ、ほんと、だ。ありがとうですー」
 小鳥が言われた通りにすれば、オートミールを熱する段階で一つの塊が出来初めていた。
 
「私も手伝おう。餅なれば神前の供物。これでも手慣れているからのう」

 雑面越しに笑みをうすらと浮かべた椿に、感謝を込めて小鳥は頷いた。頑張って作った料理達が、彼らに気に入って貰えるか、たくさんたくさん考えて……


 ●実食!
 お昼の鐘がなれば、親方の弟子達が詰所に押し掛けてきた。事前に、オートミール料理が提供されると聞いていて、若干不安そうにしてはいるが……
 先ずは、一番手、雫の料理がテーブルに置かれる。
 白い陶磁器の器の中には、出汁のオートミール茶漬けが入っていた。トッピングには、塩鮭やシバ漬けをお好みにと言った感じだ。
 
「やはり、お米とは違いますが一番日本人向けの物かと思います」
 早速、と若者達は手を合わせてからスプーンで茶漬けを一すくい口に運ぶ。お米よりも歯応えがあるのか、何度も噛み締めてから飲み込む。
 
「……うん、普通」
「ああ、米っぽいな普通に」
「けど、この出汁の匂いさぁ、あー懐かしい!!」
 やはり、絶賛と言うワケにはいかなかったらしい。
 続いては、オートミールを使った焼き菓子だ。パウンドケーキのような断面には、びっしりとナッツが見え隠れしている。

「食事とは違いますが、作業の合間に摘まめる物としてどうかと思いまして」
「スッゲー、もちもちしてる」
「ん、癖が結構あるなぁ」
「俺は、ちょっとなぁ……」
 賛否両論と言ったところか。そして、雫が最後に出す料理は……

「…………?」
 首を捻る若者多数。それもその筈、目の前の皿には、ナッツと香ばしい香りの砕けたオートミールがある様にしか見えない。
 俗に言う、グラノーラなのだが。果たして、料理とは……
 
「……言いたい事は解りますよ。でも、私の記憶の中だとこれが一番美味しかったんです」
 と、兎に角食べましょう、と若者の一人が試食を促す。なるほど、彼らは確かに日本人のようだ。

「この味、メイプルか」
「あ、このザクザク感クセになるかも、あの後味がなくなってる」
「朝食べるには良いかな。これの作り方聞きたいんだけど良いかな?」
 一人が気に入ったのか、ペンとメモ帳片手に雫に聞いてくる。雫は思い出す限りのレシピを話した。

「後、ドライフルーツを入れたり。食べるときに、牛乳やヨーグルトに入れても良いかな?」

 続いては、リダの番だ。彼の用意したのは一品料理。平たい皿の上にはオートミールを衣に揚げた平たい丸いもの。その上には、特製の茶色いシロップがかかっているようだ。
「今日は揚げ餅を食べて貰おうと思ってさ」
 そう、彼が作ったのはいももちのオートミール揚げであった。砂糖、醤油、更にコク付けのメイプルシロップで作った特製みたらしシロップがかかっている。

 パリッ、若者達がいももちを噛んだ瞬間にその音が口からもれた。

「あっつ。けど、サクサクしてもっちりして美味しいなー」
「ジャガイモとコーンスターチだったか? これなら直ぐ作れるし、腹もたまんな」
 まさに、リダの狙いはそれであった。米はなくてもマッシュポテトとコーンスターチはすぐに手に入る、米国であっても取り揃えるのが用意な食材を選んだのだ。
 
「ただ……朝からは重いな」
 そこだよな、とリダも腕を組み考えてはいた。自分なら、朝からチョコレートドーナツでも、全然構わないが日本人には、朝からは揚げ物はキツいところか。
 
「だが、オートミールの衣ならコロッケなんかも、応用出来そうだ」
 こうして、好評のうちにいももちは皿からなくなっていったのだ。

 最後に小鳥のメニュー。手伝いには、椿も参加している。
 小鳥はフライパンから、直接全員の皿にそれを乗せていく。まるで小麦粉で作ったような野菜入り円盤に、ウースターソースや味噌、マヨネーズを上から掛けて提供する。
 湯気とソースの香りが、辺りを満たす。
 
「やっぱり、お好み焼きは焼き立てが一番ですー」
「こいつは……一銭洋食、か? 随分豪華だが」
「いや、もんじゃ焼きじゃないかな。だいぶ固まっているけど」
 
 小鳥の作った謎の物体に、一同は顔を見合わせる。実は、小鳥はお好み焼き風なものを作りたかったようだが、この時代に近いものはあっても、まだお好み焼きはその形を保っていない。
 お好み焼きが、その形を完成させるのは実はもっと後の話なのだ。

「ええーから、はよ熱いうちに食わんと美味くないで」
 さぁさぁ、とピーツに促されナイフで切り分けてから、フォークに突き刺し口に運ぶ……すると。

「うまっ、何じゃこれ!?」
「これ本当にオートミールか?」
「一銭洋食食べたことあるけど、それより美味いって」
「ほんと! よかったですー」
 これは見たことか、若者達は、口々に美味い美味いと、生地を切り分けて口に運ぶ。
 
「こちらも食え。八百万の神のありがたみを知れ」
 次いで椿が持ってきたのは、オートミールの五目おにぎり、そして、オートミールのおはぎだ。

「これは、ご飯と変わらないな」
「野菜とか、鳥の出汁をオートミールが吸ってんのか。味が濃い」
「おはぎも餅と変わらないな。あんこのおかげかあのクセもないぞ」
 一通り、オートミール料理の試食を若者達が終われば、咎人達も自分以外が作った料理の試食をする。

「こ、これはユニークな味わい……!?」
 おはぎを齧ったリダが、あんこの甘さに驚きの声をあげる。
「やはり、異国の者には変味と感じるか」
 傍らで、五目を咀嚼しながら椿が呟く。
「このグラノーラ、アイスにトッピングしても良いかもですねー」
「本当に美味しいですね。お好み焼きか……これは、盲点でした」
 互いの料理を小皿に取り味見しながら、小鳥と雫は感想を言い合う。

「確かオーツ麦は、ミネラル吸収を阻害する成分があるんやったか? なら、多めにミネラルを含んだ食材が必要やな……」
「お、なんやピーツちゃん。早速、新商品の開発か?」
 いももち食みながら、ピーツは早速このオーツ麦を栄養ドリンクに取り入れることを考えているようだ。
 こうして、彼らの昼食の時間は過ぎていった……

「もー食えそうもない」
「ああ……オートミールでこんなに満足したの初めてかもなぁ」
 ポツリ、と一人の若者が呟くと腹を擦りながら満足そうに他の若者も同意する。

「てめぇら、人様に作ってもろたんや。しっかり、礼言うべきやろ」
 ぽかり、と親方が若者達の頭を小突くと、各々が咎人達に感謝を述べた。

「麦や米のありがたみを知れば、それでいい」
「此方こそ、あまりそっちの朝食の参考にはならなかったかなぁ、って個人的に思うのですが……」
「よろこんで食べて貰えて、何よりですー」
「ジャパンシアターの完成、楽しみに待ってるからな」

 任せてくれ、と手を振りながら若者達は詰所から道具を担いで、また作業へと戻っていく。


 こうして、彼ら咎人の裏の努力もあり、親方達の頑張りによりジャパンシアターは期日に無事完成させたのであった。
 それはきっと、恐らくかつて『マズイ』と言われたあの食材の力を糧にしたことにあったのだろう。

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